コラム
屋根
雨漏りの原因とは?発生理由と対策を解説
2023.03.15
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ふと気が付くと、天井や壁から雨漏りが発生していることに気が付くことがあるでしょう。しかし、室内で雨漏りが発生している場所はわかっても、どこが原因なのか、すぐにできる対応は何かなどがわからず、パニックになることも少なくありません。
実際にこちらの記事を読んでいる方のなかには、現在発生している雨漏りに悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、雨漏りの発生原因や自分でできる対応などを解説します。放置するリスクや雨漏りの原因を調査する方法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも「雨漏り」とは、雨水が建物のどこかから入り込み、室内に滴り落ちてくる現象のことです。
雨漏りと聞くと、屋根のどこかが原因であるイメージが強いかもしれませんが、屋根以外にもさまざまな原因箇所が考えられます。
雨漏りが発生している場所をいち早く特定するためにも、主な発生原因を見ていきましょう。
しかし、雨樋が劣化して破損していると、屋根の雨水が直接外壁にかかって雨漏りの原因となることがあります。雨樋が破損しているからといって、必ずしも雨漏りになるわけではありませんが、外壁やサッシに雨水がかかり続けると室内に染み込んでくる可能性があるのです。
雨が降っているときに、雨樋の水が正常に流れているか確認しましょう。
そのため、雨樋が直接破損していなくても、詰まりが発生することで屋根からの雨水が正常に排出されず、外壁やサッシに直接雨水がかかってしまうケースがあるのです。
雨樋の詰まりも雨水につながる恐れがあります。
棟は屋根面が重なる部分であることから隙間ができるため、「屋根板金」という薄い金属部品を取り付けることで雨の侵入を防止しています。
しかし、屋根板金は雨の影響を最も受けるため、経年劣化が生じやすく、破損が生じることも少なくありません。雨の侵入を防ぐ役割の屋根板金に破損が生じると、そこから雨水が室内に侵入していきます。
家の最上階の天井からポタポタと雨水が滴っている場合、屋根板金の破損が原因である可能性が高いといえます。
とくに、台風などの強風の影響により屋根材が破損したり、ズレたりするケースが多く、屋根材がなくなることで下地が露出し、そこから室内に雨水が入り込みます。
住宅の最上階の天井から雨漏りが発生している場合、屋根材のズレや破損も原因として考えられます。
とくに、外壁材にモルタルやコンクリートを採用している場合、素材の性質上、ひびわれが生じやすく、そこから雨水が住宅内に入ることで雨漏りとなります。
外壁のひび割れが原因による雨漏りは、屋内の壁にシミのようになって表れるケースが多いといえます。また、ひび割れはサッシ周辺に起こりやすいので、サッシ周辺を中心に、幅5mm以上のひび割れがないかチェックしてみましょう。
コーキングがあることで、外壁材の隙間から雨水が入るのを防止できるのですが、経年劣化によってコーキングが剥がれたり、痩せたりするとそこから室内へ雨水が侵入してしまいます。
住宅内の壁面に雨漏りが発生している、コーキングを長年メンテナンスしていないと言った場合は、コーキングの劣化が原因である可能性が高いでしょう。
しかし、経年劣化によって防水層が劣化していくことで、水を通すようになって雨漏りにつながります。とくに、バルコニーは常に屋外にあるため、紫外線や雨などの外的要因の影響を受けやすく、気が付いたら劣化が進んでいたというケースも少なくありません。
また、バルコニーの床面部分を中心に、外壁とのつなぎ目や手すりなども雨水の侵入口となる可能性が高い部分です。
このように、隙間を発生させないように施工することで、雨風の侵入をシャットアウトしていますが、シーリングや防水シートなどが劣化することで隙間ができて雨水が入ってしまうことがあります。
よくある雨漏りの原因について解説しましたが、基本的に部材の劣化によるものであるとわかります。
しかし、劣化以外にも雨漏りが発生するケースがあるため、具体的にどのような原因か見ていきましょう。
たとえば、コーキングのメンテナンスで隙間なく施工できていなかったり、屋根塗装で「縁切り」という工程が丁寧に行われていなかったりすると、雨漏りにつながります。
なお、縁切りとは、屋根材同士が重なり合う部分に空間を作る工程です。縁切りで適度な空間を作ることで雨水がスムーズ排出できます。反対に、縁切りが行われなければ、雨水が適切に排出されず屋根材の下に溜まってしまい、そこから雨漏りへとつながります。
つまり、施工業者のミスや手抜き工事、施工不良などで雨漏りになるケースがあるのです。家を新築したり、メンテナンス・リフォームしたりして数年しか経っていないときに雨漏りが発生したときは、業者の施工不良の可能性が考えられるでしょう。
たとえば、台風による強風で屋根材が飛んでしまったり、飛来物がぶつかって外壁材にひびが入ったりすると、そこから雨水が侵入することになります。また、地震の揺れによって、屋根材や外壁材、棟板金などがズレて雨漏りになるケースも起こりがちです。
雨漏りは、室内で雨漏りが発生している場所と、原因箇所が離れているケースがあり、プロでも原因を特定するのに時間がかかることがあります。
しかし、原因を特定できなければ対処できないため、ここでは雨漏りが発生しやすい代表的な箇所を3つ紹介します。
ただし、屋根は内側から野地板、防水シート、屋根材という3層構造になっており、屋根材がズレたり、破損したりしても、防水シートの働きによって雨水が入らないようになっています。
とはいえ、防水シートにも寿命があり、基本的に約20年の耐用年数とされているため、新築や前回のリフォームから20年以上経過している場合、少しの隙間が生じただけで雨漏りになるリスクが一気に高まります。
たとえば、サッシや換気扇などは、外壁材に直接穴が開けられているため、防水加工がされているものの、経年劣化によって隙間が生じやすくなっています。
また、外壁材同士の隙間を埋めるコーキングも、経年劣化によってひび割れや隙間ができるため、気が付くとそこから雨水が侵入していたというケースが起こりがちです。
とくに、バルコニーの手すりやバルコニーと外壁・軒の接合部は隙間が生じやすく、雨水が侵入しやすくなっています。
もちろん、防水加工がされていますが、経年劣化によって雨漏りが発生しやすいため、こまめに点検・メンテナンスするようにしましょう。
自宅で雨漏りが発生した場合、必ずしも専門業者がすぐに駆けつけてくれるとは限らないため、その場でできる対処法を知っておくと安心です。
ここでは、雨漏りしたときに自分でできる対処法を2つ紹介します。
雨水が滴り落ちてくるところを中心に、広範囲にブルーシートを敷きましょう。ただし、ブルーシートを敷くだけでは水が周辺に広がってしまうため、タオルや新聞紙、雑巾を使って吸水するのがおすすめです。
しかし、バケツにある程度水が溜まってくると、水しぶきが周囲にはねてしまうため、タオルや新聞紙などをバケツの底に入れて対策するのがおすすめです。
また、釘に糸をくくりつけ、雨水が滴っている部分に釘を指すと、糸を伝って水が落ちるようになるため、垂らした糸の先端をバケツに入れる方法もあります。
いづれの方法も応急処置であって根本解決にはならないため、被害を最小限に抑えるための対策が済んだら業者に相談しましょう。
「天井にシミができているけれど、生活に問題はないから放っておいてもいいのかな」
「雨漏りの処置にお金がかかるので、先延ばしにしたい」
などの理由で、雨漏りを放置したいと考えている方もいるでしょう。
結論として、雨漏りを放置することは家の価値が下がる重大なトラブルにつながる恐れがあるため、できるだけ早く対処することをおすすめします。
ここでは、雨漏りを放置するとどうなるのか、詳しく見ていきましょう。
そのような場所に雨水が入り込むと、湿度の高い空間ができて「木材腐朽菌」が発生してしまいます。木材腐朽菌とは、湿度85%以上、木材の含水率25%以上といった条件が揃うと発生する菌であり、木材の腐敗を進めてしまう存在です。
また、住宅の構造躯体として鉄骨や鉄筋コンクリートを採用している場合、錆びを発生させて強度を下げてしまいます。
このように、雨漏りの発生を放置することで、構造躯体で木材腐朽菌を発生させることにつながり、住宅の寿命を縮めてしまうのです。
天井や壁のクロスが少し剥がれたら、雨漏りを直してからまた貼り直せばよいと考えるものですが、周辺にカビやダニが発生しやすくなるため急いで補修することをおすすめします。
というのも、ダニは湿気のある空間を好んで繁殖しやすいうえに、カビもクロスに含まれる湿気や木材、接着剤、塗料などをエサに繁殖していきます。そのため、知らないうちに家中にダニが繁殖していたり、クロスを剥がすと大量のカビが発生していたりする可能性が高いのです。
カビやダニは健康被害を及ぼす存在となるため、安心して暮らせる住宅を維持するためにも、繁殖前に雨漏りを補修しましょう。
湿気を多く含む木材はシロアリの大好物であり、配管の隙間や基礎などあらゆる隙間から好物の木材に集まってきます。シロアリの侵入を完全に防ぐことは不可能とされており、とくに防蟻処理が十分でない住宅はリスクの高い状態です。
シロアリは木材を食べてしまうため、放置していると床が抜けたり、住宅を支える柱が弱くなったりする可能性があります。さらに、断熱材や電線がかじられることもあり、一度発生すると住宅にとって大きなダメージとなります。
さらに、駆除費用が数十万円かかるため、大切な住宅をシロアリから守るためにも、雨漏りを見つけたら早めに対処することが大切なのです。
雨漏りは、実際に発生するまえに予防するのが最善の対策です。
ここでは、雨漏りの発生前に原因を見つける方法について解説します。
このように、住宅のどこかを定期点検するときに、雨漏りの発生につながるような原因がないかを同時にチェックしてもらうのがおすすめです。
たとえば、屋根塗装の現地調査を実施してもらう際、屋根の防水シートの状態をチェックしてもらうことで、きちんと防水性が維持されているか確認できます。
雨漏りの発生原因となる場所を定期点検することで、有効な予防となります。
数年~数十年に一度を目安に、雨漏りの専門業者に調査を依頼することで、雨漏りに特化した調査をしてもらえます。その際、もし雨漏りが発生しそうな箇所があれば、対策まで提案してもらえるため効率的に雨漏りを予防できます。
雨漏りの原因を特定するのはプロでも簡単ではありません。どこから水が浸入し、どのような経路を通って室内に到達しているかは見た目で判断できず、原因を特定するには専用器具を使った調査が必要です。
ここでは、雨漏りの調査会社が行う代表的な調査方法を4つ紹介します。
最も簡易的な調査であり、外壁のヒビ割れや屋根材のズレなど、まずは目視チェックが行われ原因箇所が考察されます。
業者によっては無料で調査してくれるケースもありますが、基本的には3万円ほどの費用がかかるでしょう。
原因箇所と雨漏りの箇所が近いときに効果的な方法です。
ただし、ほんのわずかの水だと温度変化がみられないこともあるため、実際に雨漏りが発生しているときや、散水調査を合わせて行うのが適しています。
紫外線に反応して光る塗料と水を混ぜ、原因として考えられる場所に液体を流します。そして、紫外線を当てることで、液体が通ったルートを確認でき、原因が特定できます。
雨漏りの発生原因がわかったら、補修を進めていきましょう。
先に解説したとおり、雨漏りは放置して状態がよくなるものではなく、むしろ時間が経つにつれて住まいの状態が悪化していきます。
そのため、雨漏りの原因を特定できたら、早急に修繕を進めることが大切です。
なお、自己所有の家に住んでいる方で、雨漏りの原因が自然災害である場合は、加入している火災保険で住まいを修復できるかもしれません。一方、賃貸物件で雨漏りが発生した場合は、管理会社もしくはオーナーに相談し、どのように対処すべきか決めましょう。
今回は、雨漏りの発生原因や対処法などを解説しました。
雨漏りは放置すると構造躯体にダメージを与える可能性があったり、シロアリやカビ、ダニの発生につながる恐れがあり、早急に対処することが大切です。
ただし、専門業者に問い合わせしたからといって、必ずしもすぐに駆けつけてもらえるわけではありません。そのため、自分でできる対処法を知りつつ、落ち着いて対処を進めていきましょう。
雨漏りに悩んでいる方は、ぜひ今回の記事を参考に対処してみてください。
実際にこちらの記事を読んでいる方のなかには、現在発生している雨漏りに悩んでいる方もいるでしょう。
そこで今回は、雨漏りの発生原因や自分でできる対応などを解説します。放置するリスクや雨漏りの原因を調査する方法なども解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
雨漏りの発生原因は?
そもそも「雨漏り」とは、雨水が建物のどこかから入り込み、室内に滴り落ちてくる現象のことです。
雨漏りと聞くと、屋根のどこかが原因であるイメージが強いかもしれませんが、屋根以外にもさまざまな原因箇所が考えられます。
雨漏りが発生している場所をいち早く特定するためにも、主な発生原因を見ていきましょう。
雨樋の破損
雨樋は屋根から滴り落ちてくる雨水を地面に排出する役割があります。しかし、雨樋が劣化して破損していると、屋根の雨水が直接外壁にかかって雨漏りの原因となることがあります。雨樋が破損しているからといって、必ずしも雨漏りになるわけではありませんが、外壁やサッシに雨水がかかり続けると室内に染み込んでくる可能性があるのです。
雨が降っているときに、雨樋の水が正常に流れているか確認しましょう。
雨樋の詰まり
雨樋は筒状になっていることから、落ち葉やホコリが詰まりやすくなっています。そのため、雨樋が直接破損していなくても、詰まりが発生することで屋根からの雨水が正常に排出されず、外壁やサッシに直接雨水がかかってしまうケースがあるのです。
雨樋の詰まりも雨水につながる恐れがあります。
屋根板金の破損
屋根板金とは、屋根の最も弱い箇所である棟に取り付けられている金属部材です。屋根は面と面が重なってできており、その部分を「棟」と言います。棟は屋根面が重なる部分であることから隙間ができるため、「屋根板金」という薄い金属部品を取り付けることで雨の侵入を防止しています。
しかし、屋根板金は雨の影響を最も受けるため、経年劣化が生じやすく、破損が生じることも少なくありません。雨の侵入を防ぐ役割の屋根板金に破損が生じると、そこから雨水が室内に侵入していきます。
家の最上階の天井からポタポタと雨水が滴っている場合、屋根板金の破損が原因である可能性が高いといえます。
屋根材のズレ・破損
スレートや瓦などの屋根材がズレたり、破損したりすることで、雨漏りの原因となるケースも考えられます。とくに、台風などの強風の影響により屋根材が破損したり、ズレたりするケースが多く、屋根材がなくなることで下地が露出し、そこから室内に雨水が入り込みます。
住宅の最上階の天井から雨漏りが発生している場合、屋根材のズレや破損も原因として考えられます。
外壁材のひび割れ
雨漏りは屋根が原因と考えられがちですが、外壁材のひび割れもよくある原因の一つです。とくに、外壁材にモルタルやコンクリートを採用している場合、素材の性質上、ひびわれが生じやすく、そこから雨水が住宅内に入ることで雨漏りとなります。
外壁のひび割れが原因による雨漏りは、屋内の壁にシミのようになって表れるケースが多いといえます。また、ひび割れはサッシ周辺に起こりやすいので、サッシ周辺を中心に、幅5mm以上のひび割れがないかチェックしてみましょう。
外壁のコーキングの劣化
サイディングやALCボードを外壁材として採用している場合、外壁材同士の隙間を埋めるためにコーキングが施工されています。コーキングがあることで、外壁材の隙間から雨水が入るのを防止できるのですが、経年劣化によってコーキングが剥がれたり、痩せたりするとそこから室内へ雨水が侵入してしまいます。
住宅内の壁面に雨漏りが発生している、コーキングを長年メンテナンスしていないと言った場合は、コーキングの劣化が原因である可能性が高いでしょう。
バルコニーの劣化
バルコニーの床面はウレタンやシート、FRPなどで形成されており、防水性や撥水性があります。しかし、経年劣化によって防水層が劣化していくことで、水を通すようになって雨漏りにつながります。とくに、バルコニーは常に屋外にあるため、紫外線や雨などの外的要因の影響を受けやすく、気が付いたら劣化が進んでいたというケースも少なくありません。
また、バルコニーの床面部分を中心に、外壁とのつなぎ目や手すりなども雨水の侵入口となる可能性が高い部分です。
窓サッシの劣化
窓サッシは、外壁内部にある木材に取り付けられています。設置する際は、密閉性を高めて雨水の侵入を防止するために防水テープや防水シートが取り付けられ、さらにサッシと外壁材の境目にはコーキングが打たれています。このように、隙間を発生させないように施工することで、雨風の侵入をシャットアウトしていますが、シーリングや防水シートなどが劣化することで隙間ができて雨水が入ってしまうことがあります。
劣化以外の雨漏りの原因は?
よくある雨漏りの原因について解説しましたが、基本的に部材の劣化によるものであるとわかります。
しかし、劣化以外にも雨漏りが発生するケースがあるため、具体的にどのような原因か見ていきましょう。
施工不良
屋根や外壁のリフォームを依頼した際、業者の施工不良によって雨漏りが起こることがあります。たとえば、コーキングのメンテナンスで隙間なく施工できていなかったり、屋根塗装で「縁切り」という工程が丁寧に行われていなかったりすると、雨漏りにつながります。
なお、縁切りとは、屋根材同士が重なり合う部分に空間を作る工程です。縁切りで適度な空間を作ることで雨水がスムーズ排出できます。反対に、縁切りが行われなければ、雨水が適切に排出されず屋根材の下に溜まってしまい、そこから雨漏りへとつながります。
つまり、施工業者のミスや手抜き工事、施工不良などで雨漏りになるケースがあるのです。家を新築したり、メンテナンス・リフォームしたりして数年しか経っていないときに雨漏りが発生したときは、業者の施工不良の可能性が考えられるでしょう。
自然災害
雨漏りは自然災害が原因となることもあります。たとえば、台風による強風で屋根材が飛んでしまったり、飛来物がぶつかって外壁材にひびが入ったりすると、そこから雨水が侵入することになります。また、地震の揺れによって、屋根材や外壁材、棟板金などがズレて雨漏りになるケースも起こりがちです。
雨漏りが発生しやすい場所は?
雨漏りは、室内で雨漏りが発生している場所と、原因箇所が離れているケースがあり、プロでも原因を特定するのに時間がかかることがあります。
しかし、原因を特定できなければ対処できないため、ここでは雨漏りが発生しやすい代表的な箇所を3つ紹介します。
屋根
屋根は住宅のなかでも常に雨風、紫外線の影響を受けることから、劣化しやすい箇所であり、屋根板金や屋根材のズレや破損によって雨漏りになる可能性があります。ただし、屋根は内側から野地板、防水シート、屋根材という3層構造になっており、屋根材がズレたり、破損したりしても、防水シートの働きによって雨水が入らないようになっています。
とはいえ、防水シートにも寿命があり、基本的に約20年の耐用年数とされているため、新築や前回のリフォームから20年以上経過している場合、少しの隙間が生じただけで雨漏りになるリスクが一気に高まります。
外壁
外壁はコーキングやサッシなど、多くの部材が組み合わされていることから、雨漏りが発生しやすい箇所です。たとえば、サッシや換気扇などは、外壁材に直接穴が開けられているため、防水加工がされているものの、経年劣化によって隙間が生じやすくなっています。
また、外壁材同士の隙間を埋めるコーキングも、経年劣化によってひび割れや隙間ができるため、気が付くとそこから雨水が侵入していたというケースが起こりがちです。
バルコニー
バルコニーは常に屋外に出ている状態となるため、雨や紫外線によって劣化しやすく雨漏りが発生しやすい箇所の一つです。とくに、バルコニーの手すりやバルコニーと外壁・軒の接合部は隙間が生じやすく、雨水が侵入しやすくなっています。
もちろん、防水加工がされていますが、経年劣化によって雨漏りが発生しやすいため、こまめに点検・メンテナンスするようにしましょう。
雨漏りしたときの自分でできる対応
自宅で雨漏りが発生した場合、必ずしも専門業者がすぐに駆けつけてくれるとは限らないため、その場でできる対処法を知っておくと安心です。
ここでは、雨漏りしたときに自分でできる対処法を2つ紹介します。
床にブルーシートを敷く
最も安価で手軽にできる対策は、床にブルーシートを敷く方法です。雨水が滴り落ちてくるところを中心に、広範囲にブルーシートを敷きましょう。ただし、ブルーシートを敷くだけでは水が周辺に広がってしまうため、タオルや新聞紙、雑巾を使って吸水するのがおすすめです。
雨漏り箇所にバケツを置く
漫画などでよく見かける方法ですが、雨水が落ちてくる場所にバケツを置くのもすぐにできる対処法です。しかし、バケツにある程度水が溜まってくると、水しぶきが周囲にはねてしまうため、タオルや新聞紙などをバケツの底に入れて対策するのがおすすめです。
また、釘に糸をくくりつけ、雨水が滴っている部分に釘を指すと、糸を伝って水が落ちるようになるため、垂らした糸の先端をバケツに入れる方法もあります。
いづれの方法も応急処置であって根本解決にはならないため、被害を最小限に抑えるための対策が済んだら業者に相談しましょう。
雨漏りを放置するとどうなる?
「天井にシミができているけれど、生活に問題はないから放っておいてもいいのかな」
「雨漏りの処置にお金がかかるので、先延ばしにしたい」
などの理由で、雨漏りを放置したいと考えている方もいるでしょう。
結論として、雨漏りを放置することは家の価値が下がる重大なトラブルにつながる恐れがあるため、できるだけ早く対処することをおすすめします。
ここでは、雨漏りを放置するとどうなるのか、詳しく見ていきましょう。
構造躯体に影響する
家のなかに入り込んだ雨水は、日光が届かない湿度の高い場所に入り込みがちです。そのような場所に雨水が入り込むと、湿度の高い空間ができて「木材腐朽菌」が発生してしまいます。木材腐朽菌とは、湿度85%以上、木材の含水率25%以上といった条件が揃うと発生する菌であり、木材の腐敗を進めてしまう存在です。
また、住宅の構造躯体として鉄骨や鉄筋コンクリートを採用している場合、錆びを発生させて強度を下げてしまいます。
このように、雨漏りの発生を放置することで、構造躯体で木材腐朽菌を発生させることにつながり、住宅の寿命を縮めてしまうのです。
カビ・ダニが発生しやすくなる
天井や外壁のクロスにシミができている、一部が剥がれているといったことから、雨漏りに築くケースが多いでしょう。天井や壁のクロスが少し剥がれたら、雨漏りを直してからまた貼り直せばよいと考えるものですが、周辺にカビやダニが発生しやすくなるため急いで補修することをおすすめします。
というのも、ダニは湿気のある空間を好んで繁殖しやすいうえに、カビもクロスに含まれる湿気や木材、接着剤、塗料などをエサに繁殖していきます。そのため、知らないうちに家中にダニが繁殖していたり、クロスを剥がすと大量のカビが発生していたりする可能性が高いのです。
カビやダニは健康被害を及ぼす存在となるため、安心して暮らせる住宅を維持するためにも、繁殖前に雨漏りを補修しましょう。
シロアリが発生しやすくなる
雨漏りを放置すると、シロアリが発生しやすくなることも大きなリスクといえるでしょう。湿気を多く含む木材はシロアリの大好物であり、配管の隙間や基礎などあらゆる隙間から好物の木材に集まってきます。シロアリの侵入を完全に防ぐことは不可能とされており、とくに防蟻処理が十分でない住宅はリスクの高い状態です。
シロアリは木材を食べてしまうため、放置していると床が抜けたり、住宅を支える柱が弱くなったりする可能性があります。さらに、断熱材や電線がかじられることもあり、一度発生すると住宅にとって大きなダメージとなります。
さらに、駆除費用が数十万円かかるため、大切な住宅をシロアリから守るためにも、雨漏りを見つけたら早めに対処することが大切なのです。
雨漏りの発生前に原因を見つけるには?
雨漏りは、実際に発生するまえに予防するのが最善の対策です。
ここでは、雨漏りの発生前に原因を見つける方法について解説します。
定期点検を行う
住宅の外壁や屋根材は定期的なメンテナンスが必要であり、10年に一度を目安に外壁塗装や屋根塗装を行うでしょう。また、コーキングや雨樋などの劣化が見られる場合もあり、塗装を行うと同時にメンテナンスするのが一般的です。このように、住宅のどこかを定期点検するときに、雨漏りの発生につながるような原因がないかを同時にチェックしてもらうのがおすすめです。
たとえば、屋根塗装の現地調査を実施してもらう際、屋根の防水シートの状態をチェックしてもらうことで、きちんと防水性が維持されているか確認できます。
雨漏りの発生原因となる場所を定期点検することで、有効な予防となります。
専門業者に調査してもらう
住宅のメンテナンスとは別に、雨漏りの専門業者に調査を実施してもらうのもおすすめの方法です。数年~数十年に一度を目安に、雨漏りの専門業者に調査を依頼することで、雨漏りに特化した調査をしてもらえます。その際、もし雨漏りが発生しそうな箇所があれば、対策まで提案してもらえるため効率的に雨漏りを予防できます。
雨漏りを見つける代表的な4つの調査方法
雨漏りの原因を特定するのはプロでも簡単ではありません。どこから水が浸入し、どのような経路を通って室内に到達しているかは見た目で判断できず、原因を特定するには専用器具を使った調査が必要です。
ここでは、雨漏りの調査会社が行う代表的な調査方法を4つ紹介します。
目視
目視調査は、目で見て状態をチェックしていく方法です。最も簡易的な調査であり、外壁のヒビ割れや屋根材のズレなど、まずは目視チェックが行われ原因箇所が考察されます。
業者によっては無料で調査してくれるケースもありますが、基本的には3万円ほどの費用がかかるでしょう。
散水
雨漏りの原因として疑われる場所にホースで水を流し、どこから水が漏れ出てくるかで原因を特定する方法を散水調査と言います。原因箇所と雨漏りの箇所が近いときに効果的な方法です。
赤外線サーモグラフィー
サーモグラフィーとは、温度を可視化できるカメラのことです。雨漏り調査の場合で考えると、水が通ったところは温度が低くなるため、サーモグラフィーを通してみると他の部分よりも温度が低く表示されます。ただし、ほんのわずかの水だと温度変化がみられないこともあるため、実際に雨漏りが発生しているときや、散水調査を合わせて行うのが適しています。
発光液調査
発光液調査は、最も複雑な原因特定に適した方法であり、たとえば原因箇所と雨漏りしている場所が離れているときや、複数個所で雨漏りが発生しているときなどに用いられます。紫外線に反応して光る塗料と水を混ぜ、原因として考えられる場所に液体を流します。そして、紫外線を当てることで、液体が通ったルートを確認でき、原因が特定できます。
雨漏りの発生原因がわかったらどうする?
雨漏りの発生原因がわかったら、補修を進めていきましょう。
先に解説したとおり、雨漏りは放置して状態がよくなるものではなく、むしろ時間が経つにつれて住まいの状態が悪化していきます。
そのため、雨漏りの原因を特定できたら、早急に修繕を進めることが大切です。
なお、自己所有の家に住んでいる方で、雨漏りの原因が自然災害である場合は、加入している火災保険で住まいを修復できるかもしれません。一方、賃貸物件で雨漏りが発生した場合は、管理会社もしくはオーナーに相談し、どのように対処すべきか決めましょう。
まとめ
今回は、雨漏りの発生原因や対処法などを解説しました。
雨漏りは放置すると構造躯体にダメージを与える可能性があったり、シロアリやカビ、ダニの発生につながる恐れがあり、早急に対処することが大切です。
ただし、専門業者に問い合わせしたからといって、必ずしもすぐに駆けつけてもらえるわけではありません。そのため、自分でできる対処法を知りつつ、落ち着いて対処を進めていきましょう。
雨漏りに悩んでいる方は、ぜひ今回の記事を参考に対処してみてください。
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